[実は以前から気になっていたのですが、60’s Detroit PopキットのL Tomの音がベロシティ0でも殆ど音量が小さくならず、悩んでいます。]
[準備]
MIDI鍵盤などで演奏すると当該グループが点灯することで確認できます。(今回の場合は01-l-a 及び01-l-b でしょうか)
ラウンドロビン機能により、2つのグループが交互に鳴りますので、まずはどちらか一方、今回はaのグループを選びます。
[方法1]
Volume:の欄が現在は0.00dbとなっていますが、ここをお好みでマイナスの数値に変更します。(下げ過ぎないことがポイントかと思います。)
[方法2]ゾーンを分ける方法
方法1ではベロシティの幅のある一つのゾーン丸ごと音量を下げるため、最適値の調整が難しいかもしれません。そこで、方法2ではゾーンを分ける方法をご紹介します。
方法としては少々手間ですが、区切りたいゾーンをまず複製し、並べ直すという方法です。
区切りたいゾーンを方法1のように選択し、Mapping Editorという文字のすぐ右にあるEditボタンのメニュー(または当該ゾーンを右クリックして出るメニュー)から、Duplicade zone(s)を実行します。
すると元のゾーンに重なるように、同じサンプルを参照した新たなゾーンが生成されます。
重なっているためゾーンの色が少し濃くなっています。
重なっている二つのゾーンのベロシティ範囲を、ひとつは1~X、もうひとつをX+1~元の上端、とします。
(例:元のゾーンのベロシティ範囲が1~29だった場合、一つ目1~14と二つ目15~29など)
ベロシティ範囲を変える方法は、ゾーンを選んで端をドラッグまたは、
Mapping Editor上部のラインで数値入力できます。
ゾーンを複製し、それぞれを下半分と上半分にリサイズしたことで区切る事ができました。
ベロシティ領域が重ならないよう、そして抜けも無いようにご注意ください。
二つは同じサンプルを参照しています。
こうすることにより、あとは方法1と同じようにMapping Editor上部のメニュー「Volume:」にマイナス指定することで下段だけ、あるいはそれぞれ音量調整が可能です。
下げ過ぎないことがポイントかと思います。
[方法3]
方法2ではゾーンを区切る(複製・縮小して並べる)ことによりベロシティ段階を増やしましたが、それでも上の例ではベロシティ1と14が同じ鳴りになってしまいます。
そこで方法3では、Kontaktの機能を使ってより完全に音量コントロールする方法をご提案します。
区切りたいゾーンを選択し、Duplicade zone(s)を実行し複製するまでは方法2と一緒です。
ここまでは方法2と一緒です
こんどは半分にせず、重ねたままにするのが重要です。
ただし、
重なっている片方のゾーンだけ、ベロシティ上端値をひとつ下げます。
(例:ベロシティ範囲1-29と、ベロシティ範囲1-28が重なっている状態)
複製直後はゾーンが両方選択状態ですのでご注意ください。どこか関係ない箇所をクリックして選択解除後、再度クリックして選択し直します。
そしてその一つ下げた方のゾーンのVolume設定を、必要な最小の音量にします。
ここでもやり過ぎないことがポイントですのであくまで実用的な範囲が望ましいと言えますが、実験として効果を確かめるには大きな数値にしても良いかもしれません。
その後複製し重なった二つのゾーンを跨ぐように、横切るようにマウスをドラッグする事で、ゾーンを両方とも選択状態にします。
できましたら再び「Edit」メニューから、今度は「Batch tools」 → 「Auto-apply x-fades (velocity)」を実行します。
実行するとそれぞれのゾーンがVelocityクロスフェード状態となり(それぞれのゾーン見た目もややグラデーションになります)、ベロシティ範囲の下端から上端にかけてシームレスに音量変化する様子を確認して頂けると思います。
やり直す時はまた両方選択して「Remove x-fades (velocity)」でゾーンのグラデーションモードは元に戻ります。
以上です。
Mapping Editorなどの更なる詳細につきましてはKontaktマニュアル等をご参考にしてください。
※参考:Mapping Editorのクロスフェード機能についてはこちら(adsrsounds.com Kontakt チュートリアル)(英語)でも分かり易く解説されいます。
おわりに
PREMIER SOUND FACTORY の全ての商品は「最高の状態で鳴ったままの音」を歴史的絵画のごとく「この上なく丁寧に保存」し、そのまま「音の輝きを一滴もこぼさず再生させる」というこだわりの積み重ねで制作されています。
そうしたこだわりの結果が、お客様に高品質・高音質と仰って頂ける源泉の一つとなっているものと考えております中で、今回ご指摘のような楽器や演奏家(トッププロ)の持つムラやバラつきを敢えて極力修正せず、収録しています。
特にデジタル領域における「音」は、触るほどに鮮度は低下し、やせ細ってしまいます。本日ご紹介したような方法でさえも、いくらかは(時に著しい、と我々は判断しています)劣化の一因となり得るものです。
とは言え、お客様にとってのご利用のしやすさもまた、とても重要ですから、上記の点には少しだけご留意頂きつつ、お客様のお考えに合わせてカスタマイズを行って頂けるのも、商品にとっての喜びかと存じます。
本稿がお客様のご参考になりましたら幸いです。
PREMIER SOUND FACTORY Support.